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今日、「浪花花形歌舞伎」の記者発表があったのですね。着物姿のお写真を撮らせて頂けてラッキーです。このような公演が大阪で実現するのは嬉しいですね。
中でも亀鶴さんの与兵衛は眼目だと思うのですが…。

ありがとうございます。
とは言いながら、役について今はこれからという段階ですので、まだ余り何も言えませんが、そう言って頂けるのは有難いです。
与兵衛はとても弱い人間ですよね。気が小さくて…だからあんなことになってしまう…。

これは誰にお教え頂くのですか?

鴈治郎の叔父さんです。
今日の記者発表でもつくづく感じたのですが、鴈治郎の叔父さんは素晴らしいですね。
あの立場や年齢になられても、いまだに前を見てトライされている。
芸の若々しさももちろん、考え方や精神もお若いんですね。
それと若い人を育てたいと思って下さっているのも有難いことだと思います。

この公演は三部制ということで、第二部「曽根崎心中」で油屋九平次をされるというのも楽しみです。これも初役ですか?

いえ、これはこの前のロシア公演でさせて頂いたんですよ。
もちろんお初は鴈治郎の叔父さんです。
鴈治郎の叔父さんは、こちらが若い相手でも手加減せずして下さるんですね。
徳兵衛は翫雀兄さんで、いい意味で自由にさせて下さいました。
そうした方々の中で、その息や間の中でお芝居をさせて頂くのは凄く勉強になります。

東京のお客様は亀鶴さんが大きな役をされているのをけっこうご覧になっているのかも知れませんが、関西の方ではあまり機会がないような気がします。

勉強会とかで大きな役をさせて頂くのとは、また違いますからね。
よく「100回の稽古より1回の舞台」と言いますでしょ。
実際、舞台に立って経験するということはどんな稽古より大きなことだと思います。
ロシアでは本当に良い体験をさせて頂きました。

ロシアって今いったいどんな感じなんですか?

活気に溢れていますよ。何でもあるし、物も溢れています。
昭和の高度成長期の日本ってこんな感じだったのかな〜?って思いました。

油地獄の与兵衛は片岡愛之助さんとWキャストということで、日替わりなんですね。Wキャストというのは、演じられる上で、愛之助さんの与兵衛と比べて、変に意識してしまうみたいな…そんな演り難さはありませんか?

それはないですね。
舞台に立っている人、役柄それぞれに人生があって、役者はそれを体現しないといけないのですが、同じメンバーで毎日同じことを演っても、自分のコンディションが違えば相手の受け方も変わるでしょうし、相手のコンディションが変われば自分の受け方も違う。
それが舞台をご覧になる面白さでもある訳ですが、結局、どんな役でも難しいんですね。また、日々生きている訳ですから、芝居の前に憂鬱になってしまうような出来事に出くわすこともあるし…(笑)。
与兵衛も段取りに追われるようではいけないし、それはもちろんそれ以前の問題で、それはそれで当たり前にしておかないといけないのですが、僕は特に「上手く演ってやろう」みたいなことは思わないんですよね。
とにかくお客様が劇場に足を運んで下さって、感動して頂きたいってことで…。
僕が富十郎の叔父の舞台に感動して、「ああ、幕が閉まらないで欲しい…」って思った時のような気持ちにお客様になって頂けたらと思うだけで…。

亀鶴さんは「ここがこう良かったですね」って言っても、いつも「まだまだ」とか「全然」って、そうおっしゃてるイメージがありますわ(笑)。

そうですか?それは本当にまだまだですから…。